2017/10/11

The Greatest Conflict

M3-2017秋新譜「さよならスイッチさん(Goodby, switchworks)」のタイトル曲となる
The Greatest Conflictという曲について少し触れておきます。


何を隠そうこの曲は14年も前に少しだけ書いて即座に廃棄した没曲のリバイバルになります。
没曲どころかこの曲は「恐らく駄目だろう」と当初から没にする見込みだった実験作でした。

かつてエスプガルーダというゲームの楽曲制作を担当させて頂けたおかげで一躍知名度が上がったような気がしているのですが、
とはいえ元来tranceミュージシャンだった等というわけではなく、
どちらかというとピアノばかり弾いていた人がちょっとだけDTMかじったような、そんな感じでした。
三十路半ばを過ぎた今でもなお「tranceってのも難しいねぇ」と思っているのですが、
この没曲は「tranceにおける禁忌」に挑んだ物で、結果は惨敗でした。

The Greatest Conflictはこの禁忌を回避する事無く、
真っ向から「技術と雰囲気で何とかなるのではないか」という新しいアプローチの元生み出された
まさに「偉大なる先人達への背反」という最悪なテーマの楽曲です。

少し専門的な話になりますが、
つまるところtrance、特にCarte Blanche以降のようなtranceシーンは「ストイックなカッコ良さ」と「泣き」を追求した物であり、
これらと相反するような音楽性というのは概ねタブーではないかと思います。
例えば「オシャレさ」を追求するであるとか、ノイズ音楽であるとか……。
で、これらの一端になるわけですが「およそジャズや近代クラシックのようなテンションコードもりもりの音楽は多分tranceに出来ない/ならない」という命題で、一つ没曲を書いたわけです。
だってトライトーンとか連発するんですよ。無理でしょ絶対。


こんな感じの動きは、バロック的な古典クラシックであるとかジャズであるとかプログレとか、
でなければ近現代クラシックでもなければあまりやるべきじゃないんです。ぶつかりますから。
で、こんな感じの音になります。
 ……これでも「割とまともに聞こえる箇所」なんです。実際もうちょっとキツい事やってます。


元来泣かせとかピアノ曲を書くたびに恥ずかしくて穴を探したくなるようなそういう性分だもので、
Antique - Legacy - Requiemというピアノ3連作をテーマに持ってくるのがどうしても憚られまして、
ならいっそ「1曲目からクライマックス感でも出していくか」と、そういう魂胆でもあります。
アルバム名もSAYONARAですから、出し惜しみしない、現時点で最高のswitchworksを堪能して頂く為に、
まさに理想の楽曲になったかと思います。
電子の海 / 電子の宙 / nocturnal type などのtrance楽曲よりも更にswitchworksらしいtrance楽曲、お楽しみに。


たぶんiTunes他でもリリースするよ!

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