実はswitchworksさんはイヤホンを100本以上所有している変態です。
それはさておき、中華イヤホン界における神羅カンパニー的存在の KZ ACOUSTICSさんから「厳格な比較レビューしてくれるならほぼ無償で提供してやるぜ」みたいなキャンペーンが行われていたのでちゃっかりお願いして無事届いてしまいました。
KZ Krilaというこのイヤホンは「No Rivals under $1000」という超危険な文句で登場した恐ろしそうな子で、とはいってもKZさんは過去にも「Terminator」とかの恐ろしそうな売り文句が何度か登場しているので「うんうん」て生暖かく見守る気持ちだったのですが、
とにかく$1000以下敵無しはある意味面白い言い分だと思うので「よーしうちにあるJVCのこわい子とか英国の高額イヤホンとかと比較しちゃうぞー」と悪い心が。
先に結論
買ったほうがいいよ。本当だよ。
だってAmazonで4千円しないよ。
とりあえず開封して最初に思ったのは「うん、KZの香り」。いつもの独特の機械臭。
あとシェルのずっしりした重さが分かりますね。
KZ/CCA系の中でも特に「良い金属では?」という印象だったので、これがフェイスプレートのみならず全金属シェルだったら「買え。」てレビュー出来たのに。フルメタルシェルイヤホン作って下さいお願いします。
初期イヤーピースがフォームタイプなのは少し驚きました。
私はフォームイヤピ肯定派なので勝手に「命拾いしたな!」と思いました。(?)
スイッチがいっぱい。
説明書にスイッチの説明が無い……ような……
標準状態の1111で低域ドカ盛り/高域暴れ抑えのようです。1110で「高域もやっちゃって」。
個人的にはKZに求めている音は1111(或いは1110)の状態だと思うので、以下の評価は基本的に1111にて行いました。
さて条件になっている項目別に比較評価していきますね。
KZさんに指示されたモデルを中心に幾つかの推しイヤホンと比較していきます。(これらを全部所有している時点で……)
・Appearance Comparison(外観)
金属フェイスプレートの時点で加点しますが、KZの中でもかなり好きなほう。
サイズ感もちょうど良いので、気にする点があるとしたら「スイッチがいっぱい」の部分だと思います。
vs 7hz Timeless / Letshuoer S12 / DUNU Titan S
結局「鏡面仕上げが良いのかマット仕上げが良いのか」という表面加工の話になりそう。
金属の品質は悪くなさそうなので、もう後は好みだと思うんですが、
個人的には「Krilaのシェルはアンチ鏡面派の私を満足させる程度の出来で、しかし今のKZさんのマット仕上げなイヤホンも見てみたい」と思わせるものでした。
・Sound Tuning Comparison(チューニング)
長年KZが追い求めてきたパワー系の一つの極地ではないかな?と思えます。
とてもしっかりした低音、そしてキレキレだけど刺さらない高域。
特に高域刺さりやすい私としては「刺さらない!」だけでKrilaに20点くらい加点しそう。
ただし手元の低域確認用Sweep音にて「サブベース帯のかなり下のほう」に限界を感じました。
もしここがきちんと出せていたら全力で褒めちぎっていたのですが……とはいえここが出せるイヤホンは高額でもなかなか無いので致し方ないかもしれません。
実はこのバランスASMRとかにも向いてますよ……素晴らしいものです……
vs 7hz Legato
Legatoのほうが低域全体としては強そう。
ただしKrilaのほうがサブベース強いような気がします。
どちらを推すの?と言われると「濁りにくい」という理由でKrilaになりそう。
サブベースが強くてその上の低域が程々だとキレが良くなるんですよ。オススメのバランスです。
・Price Comparison(価格)
圧倒的。あまりに圧倒的にお買い得。
今回比較している中で最も安価になるTitan Sあたりでもかろうじて$100切れるけどみたいな世界で、
為替の分が悪い昨今では1万をなかなか切れないという事なので、
「お小遣い程度で買えるKZ安価帯のふりをしたKrilaはモンスター」だと思います。
ついにZST/ZSTXみたいなKZの入門機が入れ替わる/ここまでレベル上がるのかと感慨深い気持ちであります。
・Functional/Features Differences Comparison(機能/特徴)
スイッチの良し悪しの評価が大変難しいです。
1111がKZにおける大正義に思えますし、0000にすると確かに低域はほんの少し良心を取り戻したようでいてその正装の中に筋肉を隠しきれていません。
個人的には1111セッティングでスイッチ無しでも良かったと思えるほどですが、「イジれる事によるデメリット」なんて価格面(……かビジュアル?)以外あまり無いと思うので
特段悪い事は無いです。はい。ヨシ!
ただし付属ケーブルが良くも悪くも「価格帯なりだな」と思ってしまいました。
実際にケーブルを変えてみる事でよりKrilaのポテンシャルを引き出す事が出来たので、
もう付属ケーブルはXINHSさんとかにOEM提供お願いしたりするとかどうでしょう。駄目ですか。
・Recent Bestselling Models(最近のベストセラー)
最近のベストセラーとして今回チョイスした(された?)のは以下3機種。
・7hz Timeless
・Letshuoer S12
・DUNU Titan S
これらと比較するとKrilaは圧倒的に「楽しい音に全力振り切ったイヤホン」です。
モニターサウンドが欲しいのであればTitan Sを、
高解像感とクラシック/ジャズ向きなまったりみが欲しければTimelessを、
ド低音とカリカリ感が欲しければS12でごく簡単にゴールを得られますが、
問題はKrilaがこれらと比較して「圧倒的に安価」であり「十二分に楽しいホン」であるという事です。
少なくとも現時点で「$80~$100あたりと比較検討出来るイヤホン」と評しておきます。
そして勝手に追加しておきますが……
・vs $1000
……と言ってもそこまで高額なイヤホンを所有していませんでした😂
しかしそれでは悔しいので「私が決定打だと思っているイヤホン」との比較を記載しておきます。
(なお最近では圧倒的にTitan S / Rinkoが一軍化しています)
vs JVC HA-FDX1
モニターとしてしばらくの間愛用していました。Dropにて$125~$200あたりだった気がします。(元モデルになっているFD01なら2~3万くらい?)
説得力の高いイヤホンで一つのゴールだと認識していますが、反面Titan Sなどと近い「真面目な子」なので
「聴き用なら楽しい音で良いな」という観点でKrilaを選んで良いと思いました。
さすがにFDX1に解像感勝ってるとかは言えないです……が
ジャンルが違う、用途が違う、目的が違う。何ら問題になりません。
vs IMR Acroustics PBOne(2023)
$700くらい。(現在在庫無し)
私はこのイヤホンに勝るイヤホンを今のところほぼ知りません。
低域から高域まで、或いは解像感、或いはサウンドステージ、何ならカスタマイズ性に至るまでの頂点です。
ある意味「KZ Krilaに正しくほぼ全ての面で上回れるイヤホン」だと思います。
ただし「欲しくても入手出来ない」「半年以上発送されない」などといったイヤホンを人に推すのは人の道としてどうなんだと思うので
やっぱり「AliでもAmazonでも気軽に購入可能なKZ Krilaをとっとと買う」。これ。
つまり「$1000はやっぱりちょっと言い過ぎたか?」と思いつつも「$100出して流行りのモデルを購入する前にKrilaを所有してみても良いのでは」と本気で思えます。
総評
やっぱり買ったほうがいいよ。本当だよ。
3000円ちょいでこんな音が手に入る。中華イヤホンの楽しさの真髄みたいな子だと思います。
素晴らしい体験をありがとうKZ。もっとこの路線でいって下さい。ZAX/ZAS以来御無沙汰してたけどまた買うから。