2020/02/26

Sentimental Journeyが出来るまで

拙作「Sentimental Journey」が出来るまでを紹介します。
この楽曲は割と計画的に制作されたので、
手順を間違えなければ何度でもこういう楽曲作れるんじゃないか、という気がしています。

テーマ/ジャンル/キーなどの概要決め

打ち合わせ当初「Nocturnal Typeいいっすよね、とても大事な曲っす」て言ってもらえたのは嬉しかったのですが、
聞き及んでいる限りNocturnal TypeもChaotic DriveもMegaeraもそれぞれ人気だそうで
(@益@.:;)ノシ ガガンボー!!!ガガンボー!!!
て思ってたけどとりあえず「どれもこれも速い曲だから、きっと速ければいいんだと思う」という事でBPM速めに決定。
※ いつもジャンルとかそういうのはなんか適当だと思う
この頃ちょうど彼方のアストラという漫画を毎日熟読していて「宇宙ヤバイ!」て連呼してたので、テーマは宇宙に。
「楽曲を作る時はね、誰にも邪魔されず 
  自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ 
   独りで静かで豊かで・・・」 
とかなんとか言いながら脳内に適当に心象風景みたいなのを作っちゃうのがコツです。

キーに関してはかなり経験則がモノを言うのですが、
CからBの全12種類のキーに幾つかのコードの組み合わせで「○○っぽい」みたいなのがあるんですよ。これは平均律による物だと解釈しているのですが、
私が思うにCmとかE♭mとかGmとか宇宙っぽいのは結構いっぱいあるはず。
ただ、例えばCmだと「ストイックでテクノな宇宙」を感じるし、
Gmだとなんか「オーラスな宇宙」を感じないでもない。
今回はE♭mで「ジュブナイルで英雄譚な宇宙」を目指しました。
このキーについてはspaceworksというアルバムに収録されている
完全版でもう一悶着あり、CmとE♭m両サイドからの描写になっています。買え。

とっととサビを作ってみる

サビが良い曲は大体良いんだよ(暴論)
以前の曲のフレーズをなんて遊びは後から幾らでも出来るので、
「音ゲーらしく宇宙」なサビをとっとと構築。5-10分くらい。30分くらいはかけても良いかも。
最近よくこういうサビの部分だけKORG Gadgetでメモってあったりします。Dusk2あたりから。
ほんのりNocturnal Typeを彷彿としながら高速四分打ちとそれなりにマッチしてるサビが出来たのでこれを後ろのほうの小節に逃ししばらく寝かせます。
※ 作曲も結構寝かしが大事です

キャッチーなイントロを作る

イントロが良い曲は大体良いんだよ(暴論)
サビが固まっているならイントロでそのフレーズを引用しても良いし、
逆にメロディックだとかテーマ性なんてのを全部捨てたイントロでも良いと思うんです。
今回は宇宙っぽさ優先で半分以上テクスチャに頼りました。
ラッパの打ち込みは一瞬で適当にやったので、集めたテクスチャの配置の創意工夫に10-15分くらいかけてると思います。

イントロからサビまでが繋がらない

大体衝動的な作曲でない場合こうなります。残念過ぎる。
とりあえず過去の曲のフレーズコピペしてなんとなくシンセアルペジオ回して、
「いわゆるAメロ」ぽいのを構築する作業です。苦手だなぁ。
せっかくなので宇宙っぽさ出るようなリバーブし過ぎのピアノなんかもここで登場。
なおAメロは苦手なのですがこの後Bメロは「サビに持っていく為に押さえつける」等、曲全体の流れとして重要になってくるので
Bメロでやりたい事をAメロでやらない事」は割と重要だと思います。

Bメロからサビまでが繋がらない

(´・ω・`) ムシャムシャしてやった 今は反芻している

サビで終わってしまう

半分以上血と汗となみだと挫折で出来ている事がよく分かりましたね。
イントロ上手でアウトロ下手くそかとよく揶揄されます。

一晩二晩寝かせてから試聴、修正

実はAメロ完全に四分打ちだったのですが、なんだか冗長的でクソつまんねえ感じがしたので
一旦キック抜いた上で再構築。ここは劇的に良くなりました。
客観的視点って大事ですよね。寝かせましょう。

各パート音色の見直し、きちんとしたミキシング

きちんとしたって私ミキシングあまり得意じゃないのですが、
とにかく楽曲構成と一緒で「ここ聴かせたい」を強調して「ここはどうでもええねん」を引っ込める。
Bメロの音はかなり綿密に何度も作りなおし、
ワブルベースとキックとスネアはわざわざKORG Gadgetで素材作りを行いました。

リテイク覚悟でとりあえず送ってみる

大昔エスプガルーダというゲームでなんか1曲で7回くらい没曲出した事あった気がするので
とにかく当たって砕けろ精神で送りつけた所、即OKが出ちゃったもんで
ガラスハートのエログラサン的にはむしろ震えて過ごしましたとさ。

ね、簡単でしょう?

サビとイントロさえ固めておけば後はなんか出来てるみたいな感じになります。
あと楽曲全体での抑揚だの構成だのは割と重要で、
佐村河内守さんの指示書にもそういうの書かれてたから多分大事です。
「全然語ってないテクニックが山ほどあるだろ!」とお叱りを受けそうですが、
そういったいわゆる細かい小手先なテクニックは常日頃から色々試しておこう、というのが私の持論ですので
過去の楽曲と同じ手法ばっかりじゃないか、とかも褒め言葉として受け止めていきたい。

これがあればセンチでメントなジャーニーが出来るよ!

無料/すぐ入れろ

Cakewalk
Synth1
SWORD EDGE
KOMPLETE START

およそ買っておいて損はしない/買え

KONTAKT
FM8

買っても悪くない

RAZOR
Stutter Edit

spaceworks

spaceworks ライナーノーツ


1. return of the greatest conflict

さよならスイッチさん収録の the greatest conflict という曲の完成直後から取り掛かっていた楽曲でした。1年以上寝かしてた形に。
この頃はアルバムタイトル/コンセプト共に rebirthworks だったので「垢抜けたい」という想いが詰まった楽曲です。

2. sentimental journey(from CytusII)

この曲の為のアルバムになりました。
CytusIIへの納品時は「こんな曲で大丈夫かな?」という思いが強かったのですが、
このフルバージョンが脳内で固まった時にはちょっとドヤ顔してました。
基本的なコンセプトはロケットの発射-旅立ちから様々なシーンを経て墜落へ、みたいなそういう感じです。
彼方のアストラやDr.STONEといった最近流行りの漫画/アニメに多大に影響を受けた作品です。

3. judex

1曲目と共に数年間封印されていた楽曲でした。原曲はさよならスイッチさん収録の requiem になります。
1曲目がだいぶ明るくなったので、対称的に地獄のような曲を書いておきたい、と思ってこうなりました。
でも最終的にイメージしていたのはMinecraftのネザーだと思います。

4. analog dream works

やっと完成出来たという思いでいっぱいです。15年くらいかかってしまった。
特にこのスネアの音を長年求めていたのと、やっぱりピアノ無いと駄目ですね。なんか。
この曲の派生曲が2曲ほどあってそれも同梱しようとしていたのですがなんかダサさが抜けきらずどっちもお蔵入りになりました。残念過ぎる。技量不足でした。

5. space junk

テーマが宇宙になったのでどうしても入れたくなって古い曲を作り直しました。
割と満足です。
いわゆるスペースデブリって奴だと思います。

6. interstellar

ここまでに詰め込みきれなかった宇宙旅行xテクノをぶちこみ続けたら
なんかどこに着陸したいのか分からない曲になりました。

7. asteres aplanis

「恒星」だそうです。
アルバム全体の構成としてどうしても「ラスボスが欲しいな」と思って急遽書き下ろした新曲だったんですが、
結果的にsentimental journeyにも劣らない大好きな曲になりました。
途中から後ろで鳴っているスペイシーなパッドは生StringsとSynthStringsを同時に鳴らすというゲテモノです。
この曲だけ時間切れ感があったので、もしかしたらきちんと作り直すかもしれません。

8. on my way home

「ラスボスがいるならエピローグも要るだろ」とこちらも急遽書き下ろした曲です。
多分今後もそういう構成でやると思います。
曲名は敬愛するenyaの名曲より拝借、テーマは「帰還」。
この曲も彼方のアストラやDr.STONEの影響を受けていると思います。
或いは初代SmashBrosのクリア後のピアノ曲。(分かる方いるのかなぁ……)



……と色々書いたんだけど実は作曲環境がしばらく壊れていたせいで
ほぼ1週間で全曲書いたんだ。嘘みたいだね。
「作れないフラストレーション」からの一気に作業というのも、決して悪くない結果を生み出すのかな、という意欲的なアルバムになりました。
気が変わらなければspaceworks2もやりたいです。宇宙ヤバイ。